アコースティック

激しいビートのロックだけでなくライブハウスではアコースティックバンドも。

ライブハウスはロックバンドだけのステージではありません。 「イスがないんだよね?ライブハウスって。立ち見というか飛び跳ねながら聞くって先輩が言ってた。 運動不足で足腰の弱い人には辛そうな環境だから若者が多いのかな?」と想像しているハウス未経験者もいるようですが、 いつでも立ち見を強要するほど過酷で厳しい場所ではありません。

ロックバンドやデスメタル、ハードコアやパンクのバンドなら座って手拍子をしながら演奏を聴く観客はいませんし、 従業員もそのことを心得ているのでホール内には座って談笑できるようイスやテーブルを配置することはありません。 ステージの前に広がる観客席は床のみ、そこで開演前から棒立ちして昂ぶる気持ちを抑えるか、 疲れたら地べたに座ってタバコを吸ったりビールを飲んで壇上の袖の暗闇からお目当てのミュージシャンが現れるのをリラックスして待ち構えます。 ですがそんなに激しい曲調ではないアコースティックなバンドの出演時には、みんなが飛び跳ねたり頭を振り回して暴れるように楽しむわけではありませんので、 座って落ち着いて鑑賞するお客さんのために折りたたみイスが並べられることがあります。

大きなホールなら固定イスが備え付けられているので「今日のコンサートはジャンル的にイスがあるか立ち見になるか微妙だな」と心配することはないのですが、 ライブハウスだと出演者によって立ち見オンリーとイス有りを使い分けるのです。 アコースティックバンドやフォークソングだとライブハウスでも市民会館や公園のベンチで座って聴くような形式でサウンドを味わうので、 ライブ=立ち見という図式は必ずしも成立しません。

ではどのような構成のバンド・グループがそれに当てはまるのか、楽器の構成で説明するとアコギにウッドベース、ボーカルにドラムと基本的な部分は ロックバンドとあまり変化は見られないかもしれません。 でも奏でる音は別物で、エレキギターにエフェクターをかけた身体が痺れるような音色ではなく、もっと温かみのあるアコースティックな音を出します。 そんなミュージックならやはり落ち着いて聴きたいものです。

もしあなたがアコースティックギターにはまっていて人前で演奏する場合ですが、 以前にエレキギターを愛用していてそちらでのライブに慣れきってしまっていたとしたら注意しなければならないことがあります。 エレキ系の楽器は生音は小さいですがアンプで音の大きさを簡単に調整できるので、ボリュームであれこれ心配する必要なんでありません。 でもアコースティックギターは生音が大きいので静かな場所ならそのままの音量で充分に聴くもの心を酔わせることができてしまいます。 ですが「ライブハウスでも生音でいいや、やっぱりそのままの音をお届けしたいし」と増幅装置無しで演奏するとほとんどの規模の箱では物足りない音量になります。 聴けないことはないのですがみんなに自分の楽曲をしっかりと堪能してもらい、満足して会場を後にしてもらいたいのならなにかしら対策を立てたほうがいいでしょう。 専用のマイク(ピックアップ)を取り付けてスピーカーを通すか、アコギではなくエレアコを使用するのがよくある対策になります。 エレアコとはエレキギターの長所を取り入れたアコースティックギターで、これならアンプを通して音量を簡単に調整可能です。

ギター以外の楽器も同じように対策をして、静かだけど狭い空間ではない会場に集まってくれたお客さんのハートに自分達の演奏が届くようにしましょう。 コンサートホールや野球スタジアムほど広くはない会場なので客席とステージの距離は物理的にも感覚的にもとっても近いです。 そんなライブハウスで観客のレスポンスをダイレクトに感じながらの演奏会はとても楽しく心が踊り、何歳か若返った気分にもなるでしょう。 心温まるアコースティックな音色はそんなライブハウスにとってもお似合いです。